静岡茶コミュニケーション
自分が生産したお茶に、最後まで責任を持つ
正直、それほど農業に興味があったわけではないのです。農家の長男として、家を継ぐんだなくらいに考えていました。そうして関わったお茶づくり。でも、せっかくやるなら、自分なりにやりがいを見いだしたい、そこで私の代で製茶工場を作りました。生産者として、自分たちが作ったお茶が、最終的にどんな味に仕上がったのかわからないのが嫌だったということもあります。現在では自家茶園で栽培、自家工場で加工して、小売りも手がけています。
量ではなく、味と品質で勝負する
この仕事で一番やりがいを感じるのは、やはりお茶を製造をしている時です。現在15品種程のお茶を栽培しているのですが、それぞれのお茶の特徴を調べるのが楽しいですね。富士山の麓という土地柄、平地の茶園に比べ、新茶は時期的に遅れをとってしまいます。土の影響で、とても栄養のあるお茶が育つ地域だと思います。量で勝負ではなく、摘み方と加工でクォリティを上げていきたいと思っているんです。栽培面積に見合った加工能力、というのも大切なんです。
聞茶会日本一の実力を活かして
静岡県はもちろん、全国的にもお茶といえば「やぶきた」が主流です。この飲み慣れた「やぶきた」をベースに、他の品種茶をブレンドして、様々なタイプのお茶を販売していきたいと考えています。ブレンドすることの利点は、品種の特徴を上手く残しながら、欠点をカバーできるということです。様々な品種をブレンドすることで生まれる新しい味の魅力を、これからは積極的にPRしていきたいと考えています。
新品種を育てる楽しさ、難しさ
最近、ハーブティーのような香りが楽しめるお茶を育て始めています。そのような特徴のある品種を増やしていけば、いろいろな世代の人に選んでもらえる、バリエーションのあるお茶を作ることができるのではないでしょうか。まだ試験栽培の段階で、やってみなければわからない、とういうのが正直なところ。そこがまた、お茶づくりの楽しさでもあるのですが。それから、店頭で手にとってもらうには、パッケージも大切。かしこまらずに送れる季節のギフトとしても提案したいですね。
子どもたちにもお茶文化を伝えたい
製茶工場に前に小学校があります。そこで、手もみ茶の体験も行っています。お茶をよく飲む家庭、飲まない家庭は半々ぐらい。そこで思うのが、子どもたちにもっとお茶のことを知ってもらいたい、ということですね。今後の取り組みの一つとして、体験農場を広げていきたい、ということがあります。お茶摘みと製造体験ができて、さらに野菜の収穫やみかん狩りができるような。工場周辺がそんな施設になるように、いろいろ計画中です。